●余寒の雪



期待はしてたんだけど、宇江佐さんっていいなあ。
これまで、遊女に身を落とす女やら押込み強盗一家惨殺やら渦巻く陰謀で、チャンバラに繋がるものが多かったから、そういう素振りを見せながらも、人情って言うのか、自然に(っていうのは失礼な言い様だが)収まるところ収まるように向かうってのが、なかなか新鮮だ。
この本は、短編集なので表題作「余寒の雪」にだけ少し触れとくと、男勝りな男装女剣士。これだけで、普段エロゲやら諸々のMOEと呼ばれるものに接していると、もう、あらぬ妄想を掻き立てられるわけですが(そもそも、あらすじからそれを期待してたし)、そこから、さらに嫁入り話と聞けば、ツ○デレ?ツン○レ?と、期待は膨らむばかり。
結論を言えば、大筋で期待通りの話。
第一印象があまり良くなかった主人公も、話が進むごとに好意的に見れるようになり、クライマックス前後ともなれば、いい嫁になりそうだと、主人公を引き止める旦那候補(こぶ付き)の気持ちもよく分かる。
ま、意地悪い見方をすれば、旦那は、主人公に惚れたってより、いい母が来たって感じでもありそうだけど、大天使(ミカエル)様のお兄様殿下の心境とでも申して納得致しましょう。